愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
取り囲んでいた女子を振り切りこちらに向かって突進してくる。
それはまるで、獲物を見つけた猛獣のよう…
うっ、恐い…
「なんだ。真央も電車だったのか?」
入学して1年も経つのに気付いてなかったんだ…
てか、私も知らなかったけど…
森本君はまともに登校した事ないから、この時間の電車には乗らないもんね。知らなくて当然か…なんて、納得してる場合じゃない!!
ホームの人をかき分け、薄ら笑いを浮かべた森本君がズンズン近づいてくる。
ど、どうしよう…
「いいとこで会ったよな~」
いいとこ?何がいいの?どこがいいの?
ヤダ、来ないで…私達、昨日までは話したこともない正真正銘の他人なんだから…
森本君に置いてけぼりにされた女子達が凄い眼で私のこと睨んでるじゃない。絶対、勘違いされてる…
私はジリジリと後ろに下がりながら、引きつった笑顔で森本君からどうやって逃げようか…と必死で考えていた。が、気が付けば、既に森本君は私の眼の前で仁王立ち。
彼に右手をガシリと掴まれた瞬間、パニくった私は恐怖で全身の毛が総立ちになり、情けない声を上げてしまった。
「ひぇ~っ!!森本君…許して~…」
「はぁ?何謝ってんだよ?」
そう言うと、自分の制服のポケットから何かを取り出し私の右手に握らせる。
「へっ?」
「昨日は悪かったな…元カノの麗子の事なんか言ってさ…これは、そのお詫びだ」
「おわ…び?何?」