愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

テレビ画面の中で、裸の男女が絡み合い濃厚なラブシーンが繰り広げられている。


『あ~ん。ダメ~…イクぅ~』


イクって…どこ行くの?


暫くの間、食い入る様にテレビ画面を見つめていたが、ふと我に返った瞬間、猛烈に焦りだす。


これって、これって…もしかして、世に言う…AVってヤツ?
疑う余地は皆無。私とした事が、初体験のAVに見入ってしまった…


ヤバい!!マズい!!
とにかく、消さなきゃ…止めなきゃ…


罪悪感と羞恥心が入り混じり、完全に取り乱した私の指は震え停止ボタンが上手く押せない。


スヤスヤと幸せそうに眠る森本君が眼を覚ます前に、とにかくコレを消さなくては大変な事になる…と舞い上がり冷静さを失った私は、震える指でリモコンのボタンを適当に連打していた。


画面が消えればなんでもいい!!


しかし、こんな時ほど事は上手く運ばないもので…
数ある機能の中で反応してくれたのは…
鳴々、無情。こともあろうに音量アップのボタン。


大音量の喘ぎ声に驚き、思わずリモコンを放り投げてしまった。そして、ソレが寝ていた森本君の頭を直撃したから…さあ、大変!!


「痛ってぇーー!!」


森本君が飛び起き、目の前のテレビを見て雄叫びを上げる。


「うおぉぉぉーーっ」


で、間が悪いとは、こういう事を言うのだろう…
和弥がドアを開け部屋に入って来たんだ。


和弥は一瞬、ビクッと体を震わすと、土鍋を持ったまま固まってしまった。


「お前ら…何観てんだよ…」

「違うぞ!!俺じゃない!!」


森本君が豪快に首を横にブンブン振る。


2人の疑いの視線が私に向けられた…


「あ、あのぉ~…えっと…ハハハ…」


笑って誤魔化す事しか出来ない私。


シーンと静まり返った部屋に、大音量のAVの喘ぎ声だけが響き渡っていた…




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