愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「あぁー…ごめん。俊ったら、さっき慌てて出て行ったんだよねぇ~」
「じゃあ、待たせてもらっていいかな?」
「いいわよ。俊の部屋で待っててくれる」
和弥は女性に軽く会釈すると、私の手を引き店の奥にあるドアに向かって歩き出した。
「…和弥、もしかして、ここって森本君の家?」
「あぁ、そうだよ」
「なんで森本君の家なの?2人で会えるって思ってたのに…」
焦った私は、つい強い口調で和弥に詰め寄ってしまった。
イヤだ…森本君に会いたくない。和弥と一緒に森本君に会いたくないよ。
「とにかく、俊の部屋へ行こう」
和弥に手を引かれ、私は渋々階段を上がる。
森本君の部屋は和弥の部屋とは正反対だった。色んな物が所狭しと置かれてて、とても騒がしい部屋。でも、意外とキチンと片付いてる。
そして、余り広くない部屋なのにベットだけがやたらデカい。
これって、ダブルベットだよね…
そのベットの上に私達は並んで座ると、和弥が私の手をギュッと握り「今まで連絡しないで…ごめんな」と申し訳なさそうに俯いた。
和弥の手は温かいというより、熱く火照っていた…
「実はさ…妹の調子が悪くて…」
「妹?」
和弥に妹が居たなんて、知らなかった…
「和弥、妹が居たの?今まで家に行っても、一度も会ったことなかったけど…」
和弥は私の手を離し自分の膝を抱えると、そっと視線を私に向ける。
「当然だ…ずっと、入院してるから…」