愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
家に帰ると私はすぐに洗濯機をまわし、いつもより柔軟剤を多めに入れてみる。
動き出した洗濯機を見つめながら、私はちょっぴり残念な気分…
あの石鹸のいい香りが消えちゃうな…
洗濯機が止まると、そのタオルだけを引き抜き自分の部屋の窓際に干した。が、自分が期待したほど香りはしなかった。
ウチで使っててる柔軟剤は、お母さんの好みであまり香りがしない。
なんだか凄く引け目を感じた。今までそんな事、思った事なんかなかったのに…
明日までに乾くかな…?
少し大きめのブルーのタオルを見上げながらため息一つ。
どうして桜井君は、私にこのタオルを貸してくれたんだろう?
たまたま、近くに居たから?
ただの気まぐれ?
いくら考えても答えは出ない…
でも、一つだけハッキリしてることがある。
それは、彼が私を意識して貸してくれたんじゃないってことだ。
私みたいなパッとしない子なんて、彼が相手にしてくれるはずない。
自分のことは、自分が一番良く分かってるから…
クラスの中でも、一、二を争うほど目立たない私を、あの桜井君が…まさかね。
その夜は、ずっとそのタオルを眺め
自分の揺れ動く気持ちを打ち消していた…