愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
次の日の朝、頬にタオルを当ててみる。
「なんとか乾いたみたい…」
ホッとするのと同時に、なんの香りもしないタオルに落胆し肩を落とす。
すると、鏡の前に置いてある小ビンが眼に止まった。
ためらいながらも、いつも自分が付けてるコロンをタオルに振りかけてみた。
少しだけ…
ほんの少しだけ…
「あっ…もう、こんな時間」
私は慌ててタオルを一番お気に入りのペーパーバックに入れると家を飛び出した。
学校に着く前からドキドキが止まらない。
どうしよう…
コレ、どうやって返せばいいんだろう…
休み時間ごとにソワソワして机の中のペーパーバックをグッと握り締め桜井君の姿を眼で追う。
でも、とうとう放課後になるまでタオルを返すことが出来なかった。
あぁ…
桜井君が教室を出てく…
すると、沙紀が私の席の横に立ち「真央、アンタ何、キョドってんの?」と顔を覗き込んできた。
「あ…このタオル…返さなきゃ…」
すがる様な眼で沙紀の顔を見上げそう言うと、沙紀は"納得"という表情で教室を飛び出し数分後、桜井君を連れて戻ってきたんだ…
えっ…うそ…
「用事って、なんだよ?」
不機嫌そうな低い声で呟く桜井君とガッツリ眼が合い焦りまくる私。