愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
第2章
◆欲望
次の日の朝、少し寝坊した私は駅に続く道を全力で走っていた。
寝坊の理由は単純明快。まだ揺れ動いているこの気持ち…和弥への想いを必死で打ち消していたから…
和弥は私の手の届かない所へ行ってしまった。気持ちまで、遠い遠い所へ行ってしまったんだって…
そして、森本君に付き合うと言ってしまった以上、私はもう、和弥を好きでいる事は許されない。森本君は私を大切に想ってくれてる。そんな彼の気持ちに応えなきゃいけない。
きっと時間が解決してくれる。和弥を忘れて、森本君の事を好きになる。
一晩中、そう自分に言い聞かせていたんだ…
やっと駅が見えてきた。
改札口の前にいる沙紀を見つけホッとした時、沙紀と親しげに話してる男性を見てドキッとして足が止まった。
あれは…森本君…?
2人は深刻な表情で何か話してる。
あの2人が話しているのを見るのは、初めてだ…
私が近づいても気付く様子はなく話し続けてる。
「本当に、いいの?」
「あぁ…いいんだよ」
なんの話ししてるんだろう…?
「さ…き…」
私が控えめに声を掛けると、2人は驚いた顔をして少し距離を取り、沙紀は明らかに不自然な笑みを浮かべた。
「何かあったの?」
「うぅん。別に…何も…」
沙紀の不審な態度に首を傾げると、森本君が割り込んでくる。
「あ…あのな、俺と真央が付き合いだしたって木村に教えてやってたんだよ…」
私は沙紀の顔を見つめ「そうなの?」と聞くと…
「そう…そうなの!!もうビックリしちゃって…言葉出なかったよ。真央ったら、やるじゃない」
妙に明るくそう言って、私の背中をバシバシ叩く。
ホントかな?そんな話ししてる様には見えなかったけど…