愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

ゆっくり私の方に顔を向けた沙紀が口を開く。


「そんなに森本君が好きなの?」

「えっ?…どうしてそんな事聞くの?」

「本当に森本君で…いいの?」

「それ、どういう意味?」


お互い質問するだけで、相手の質問に答える事はない…


「桜井君の事は…もう忘れたの?」


ズキッと胸が痛む。どうして今更、和弥の事なんて言うのよ?


「和弥は私をフッて新しい彼女と楽しくやってるの。もう和弥の事は言わないで!!」

「真央…」


私は沙紀に背を向け唇を噛みしめた。


沙紀のバカ!!和弥の事、忘れたくなくても忘れるしか仕方ないじゃない…もう会えないんだから…


その時、私の携帯にメールが入った。


《担任たちの夜の見回りは、AM1:00が最後。1:15になったら階段で一階のロビー横の自販機の前に来い》


俊からだった…


その夜、12時をまわった頃には部屋の皆は眠りに付き、私はまんじりともせずジッと時計を見つめていた。


約束の時間丁度にコッソリ部屋を抜け出し階段を下り一階のロビーに行くと、自販機の前にはもう俊が来ていた。


「見つからなかったか…?」

「うん…」


俊が安心した様に頷き私の肩を抱いて歩き出す。


「どこ行くの?」

「誰にも邪魔されねぇとこ」


ニヤッと笑った俊は、"従業員以外立ち入り禁止"と書かれた鉄の扉を力一杯開け中に入って行く。


「入ってもいいの?」

「ああ…」


薄暗い廊下を抜け観音開きのドアを押し開けた俊の背中越しに中を覗くと、そこはホテルの厨房だった。


「夜は誰も居ないだろ?」


確かに誰も居ないけど…勝手に入っちゃっていいのかな?なんてオドオドしてると、俊が後ろから低い声で私の名を呼んだ…


「真央…」

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