その手を天高く伸ばせば
カッチカッチカッチカッチ・・・・


ふっと意識が戻る様に眠りから目覚めたユウは、枕元にある携帯を開いた。

時刻は午後8時30分になろうとしていた。
そして新着メールに気付き、受信BOXを開く。
ケンチからばかりのメールが・・・・

「じゅっ18件?!」
思わず声に出して叫ぶ。

1番古い(?)新着メールから開いてみると、具合が悪いユウを心配している内容ばかりだった。

「もぉ〜〜有り難いけど困るよ・・・ケンチ・・」

約1時間に2〜3通の割合で送られていたケンチからのメール・・・・・
18件全て読み開いて、 溜め息をつく。
昼間より具合が良くなったが、今度は寝過ぎたせいかで体がダルい。

「ふぅ〜〜〜さあて、ケンチ心配大臣に返事を返しますかっ」

体をベッドから起こすと、ベッドの上で胡座(あぐら)をかいて座り、部屋の明かりを着けるより先にメールを打った。





《♪♪・・♪♪♪・・♪♪♪》

かるた取りみたいに素早く携帯を手にすると、メールを開き見た。

《まだ完ペキじゃないけど、大分良くなったよ。
心配してくれてアリガトウ
来週は会おうね!》

ケンチはメールを読み終わると、深い溜め息を吐きながら布団に寝転がった。
そして、ようやくケンチの携帯は今日の仕事を終えた。





ベッドの上で伸びをして、ゆっくりと立ち上がり部屋を出た。

「お母さ〜ん、ご飯まだぁ〜〜〜?」

昼間の悩みはドコへやら?すっかり忘れてしまっている。
ポリポリポリポリ、パジャマの上からお尻を掻きながら階段を降りてゆく姿は決してケンチには見せられないユウのクセだ。


「お母さ〜んお腹空いたぁ〜〜」






ホントに具合が悪かったのか???と疑ってしまうほど、ユウはお母さんの手料理をモリモリ平らげたのだった。この時にはもう、体調は良くなっていたのだろう。



「お母さん、おかわり!」



満面の笑顔で茶碗(ちゃわん)を差し出すユウが居た。
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