疑惑のグロス
15:一途な想い

そうはいっても、何と言葉を掛ければいいのか。

なかなか思いつかないまま、電話の前で既に一時間経過していた。


『大塚を見返してやれ』

――これじゃまるで、ふられた女友達を慰めるような台詞だ。


『次があるって!』

――そんな軽いノリじゃ、余計に落ち込むかも。意外とゆたはナイーブなんだ。


というか、なんで私がゆたのためにこんなに時間を割かないといけないのよ。

落ち込んでご飯食べられなくなりそうなのはこっちだってば。




そうだ、メールにしてみよう。

それなら、少々クサイ台詞も言ってあげられるかもしれない。


思い立つとすぐ、慣れないゆた宛へのメールを一通作った。

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