疑惑のグロス

「メールの意味がよくわかんなかったけど、ちょうど話したいことがあったから来た」


私よりゆたの方がさきに口を開く。

まあ、まず聞こうじゃないの。

その間に、素晴らしい慰めの言葉を考えることにするわ。


Tシャツが、あまりに白くてまぶしい。

ゆたの普段着は、白いTシャツがトレードマークだ。

何も飾りなどない方が自分には似合うんだとパック入りTシャツをまとめ買いしている。

私も、ゆたにはこれが似合うと思っている。

でも、ゆたが着ると白さが増す気がして、そこがちょっとむかつくんだけどね。


「この頃さ、璃音さんの元気がないんだ」


そりゃさぞかし心配でしょうよ。

恋する彼女はいつだって笑ってる方がいいに決まってるもの。


――って、え?

なんで元気がないわけ?


「わ……私、大塚と北野くんのことなんてばらしてないわよ」


聞かれてもないのにする言い訳は格好悪い。

もしかして……やっぱりもう、北野くんに何かとがめられているのだろうか。

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