疑惑のグロス

「ねえ。もしかして苑美ちゃんって……オレが璃音さんのことを好きだと思ってるわけ?」

「うん。でもゆたったら、いつまでも素直じゃないんだもん。

私が大塚のことを毛嫌いした様子を見て、好きだって言い出せなくなっちゃったの?」

「苑美ちゃん……よーく、考えてみてよ。

オレが好きな人は璃音さんじゃないってことは、もうわかったでしょ?

さっき苑美ちゃんも自分で言ったじゃん、オレはとっくにあの二人がつき合ってるのは知ってたんだってば」


ますます混乱する。

じゃあ一体、誰の事を好きだというのだ。


「苑美ちゃんってさ。

昔からなんかつっぱしるタイプで、思いこんだら途端に視野が狭くなるんだよね」


「な……なによう……!」


なんだか急に、ゆたに上から見られている気がして焦る。

< 121 / 130 >

この作品をシェア

pagetop