疑惑のグロス
「でも、そんな長い夢ももう終わり。
子供の頃の遊び半分の約束を未だに覚えてるオレがどうかしてるんだよね。
大人になったら、そりゃ恋もするし好きな人だってできるもんな。
それに……松原さん相手じゃ、オレはどうやっても勝てないしさ」
青いキャンディの包みを破って静かに口の中に放り込むと、今まで見せたことの無い寂しそうな笑顔を浮かべた。
いつからだろう、ゆたを男性としての存在から排除したのは。
小さい頃から、ゆたと一緒にいるのは楽しかったし、何より安心感があったけど、それは男性としてではなくて兄弟に近いような想いだと解釈していた。
親たちが、婿に来い、嫁に来いと騒いでいても、特段気にも留めたことはなかった。