疑惑のグロス
3:貴重な存在
私の配属先は、地味な「人事管理課」に決まった。
配属って、顔や雰囲気で決まるのかな。
もしそうならば、彼が私と同じところじゃなくて「販売流通課」っていう目立つ部署へ配属されたのも納得できる。
でも……なんで私はそんな運命ばっかりなの?
22年間も地味に生きてきたんだから、そろそろ日を当ててくれたっていいじゃない。
彼は二階、私は三階へと引き離され、楽しい予感を感じさせた社会人生活は一週間ですでにどん底へと落とされた気分になった。
でも、転んでもただでは起きない性格の私。
そりゃあ、なんとか少しでも接点持てるように頑張ってきたわ。
時々内線で用事がある時も、三回に一回は彼の席の内線番号宛に掛けてみたりして。
彼が歯切れの良い喋りで
「販売流通課、松原です」
と応対してくれるたび、私の心は激しく踊り始めるんだ。