疑惑のグロス
ゆたを使って、彼の情報を聞き出そうと思えば出来なくもなかった。
でも、ゆたに彼への気持ちを悟られるのがなんだか悔しくて、一度も情報を貰ったことはなかった。
……あくまで『なかった』よ。過去の話ね。
でも、今回ばかりはそうも言ってられない。
ゆたから何か実のある話でも聞かなければ、私のこのモヤモヤした気持ちは収まりそうにないわ。
ナイスなタイミングで現れたゆたを、私は何食わぬ顔で夕食に誘った。
「苑美ちゃんとご飯なんて久しぶりだな。行く行く!」
ゆたは、何も知らずに喜んでいる。
フン、まだまだ子供ね、ご飯くらいで喜ぶなんて。
何がいいの、お子様ランチ?
デザートも食べていいわ、今日は私がおごってあげる。
その代わり、たっぷりとお花見の話、聞き出してやるんだから――!