疑惑のグロス
「じゃあ、久々の苑美ちゃんとのご飯に乾杯!」
「……乾杯」
あまりに嬉しそうな顔をするから、いじめすぎるとこっちが悪者みたいになっちゃう。
そして私が引っ込むのがいつものパターンだ。
ゆたは小さい頃からそうだった。
こんな性格だから、周りの年上からはいつもからかわれるターゲット。
チビの頃は少しのことで、本当によく泣いていた。
弟みたいだと思っていた私は、自分が普段からかうのを棚に上げて、ここぞとばかりに正義感を振りかざしてゆたをかばってたっけ。
「そのみ」となかなか発音できなくて、小学校上がるくらいまで私のことを「しょのみちゃん」って呼んでいたのに、今じゃすっかり社会人2年生。
いつかゆたに彼女ができたら、小さい頃のこといろいろと話してやろうと企んでいる。