疑惑のグロス

ビールで口内に残る甘辛い味を洗い流すと、私はゆたの顔を力強い目線で見つめた。




「ねえ、お花見がすごく盛り上がったらしいじゃん?」


そういえば、課内の男は全員大塚に投票したらしいって話だったっけ。

だとすれば、ゆたもその一人ってわけね。


「まあね。大成功って感じかな」


にんまりと子供のような笑顔を浮かべたゆたは、泡の小さくなったコーラに口を付けた。


「……大成功?何それ」

「苑美ちゃんが言ってるのって、うちの部署の花見のイベントのことでしょ?

あれね、実はオレが企画したんだ」


なっ、なに―――!

犯人は……お前か!


そもそも、そんな企画したから、今こうして私が気分がめちゃくちゃに荒らされてるのよ。

しかもしかも、アプローチ計画も一気に意気消沈させてくれちゃってさ。

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