疑惑のグロス

ゆたったら、子供の頃から私の周りをちょこまかしては邪魔になることが多かったのよね。


いつも手間ばかり取らせて。

もう……絶対に許さないんだからっ!


「全くあんたってやつは!」

「……へっ?」

「何でそんなことするのよ!」

「何でって……オレ、幹事に選ばれちゃったからさ、必死で楽しい企画を……」

「楽しかないわよっ!!」


きっと、ゆたの頭の中は混乱してるに違いない。

私も混乱して、すっかり冷静さを失っている。


「苑美ちゃん、オレ、よくわかんないよ……なんで怒ってるの?」

「知らないっ!」


昔から、興奮すると涙がこぼれてくるのが癖だった。

まさに、今の状態がそれ。

あまりに気持ちが動揺したのと、悔しさとでいつしか私の目からは大粒の涙がこぼれていた。

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