疑惑のグロス

大塚がどれほどの女なのか、この目で見たことはないけど、昼の話じゃ相当な美形。

私は自分の容姿がどんなレベルか自覚しているから、太刀打ちできないってことくらい、よくわかっているんだ。


「そんなこと言われてもなあ……。

オレとしては、深い意味なんてなかったんだもん。

盛り下がるような企画をしようものなら、大北課長に半殺しにされる、オレの身にもなってよ」


「そんなの知らないったら!

いっそ半殺しにされれば良かったんだ!」


このままだと、ゆたにぶつける言葉がどんどん酷くなって行く。

わかっていても、私の心のもやもやがそうさせているらしく止めることができない。

小さい頃からこれと同じパターンでゆたを泣かせては、よく怒られていたっけ。


でも……一応私にだって、かわいそうだと思う気持ち、あるんだから。

ちょっと素直になれない乙女心よ。

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