疑惑のグロス
わずかに残っていた情けも手伝って、なんとか話題の方向転換したいと思った私は、あることを思いついた。
「ねえ、今回の私の心の傷を負わせた責任、ゆたに取って貰うってのはどう?」
次々に浴びせられる罵声を俯いて受け取っていたゆたは、トーンの変わった私の声が耳に入ると、すぐに勢いよく顔を上げた。
「えっ?……責任?」
「あんたが企画したってわかった途端、私の腹の虫は余計に治まらなくなって、更にもっと大きく騒ぎ出したんだもの」
「なんでよ?オレは無実だって!」
いつも、いたずらの片棒を担がされていたゆたは、自分の身に迫る恐怖を察知する能力を自然と身につけていた。
今も徐々に自分の前に壁を築き、私から逃れようと必死にもがいているのがわかる。
……それがわかってなおさらいじめたくなる私は、かなりの『ドS』なのかもね。