疑惑のグロス
「うるさいッ!
ともかく、ゆたには私の恋がうまく行くように、いろいろと協力して貰うんだからね」
「えーっ!オレ、絶対にやだよ」
困った顔で必死に抵抗するゆたを、容赦なく厳しい目線で睨みつけた。
「ひとまずさ、松原くんになんとなく聞いてみてよ」
「聞くって……何を?」
「決まってるじゃない!
『大塚璃音に一票投じたのか』と、もしその答えがイエスなら、『大塚璃音を好きなのか』ってこと」
それでもし「好きじゃない」って答えが出てくれれば、私の気持ちは少しだけ落ち着くことができそうな気がする。
ゆたは、割り箸でお皿についた乾いた青のりをガリガリとやりながら、小さな声で答えた。
「いくら苑美ちゃんの頼みでもオレ、それはしたくないよ。
それに、松原さんの答えがどうであっても、苑美ちゃんは満足しないと思う」