疑惑のグロス

「うるさいッ!

ともかく、ゆたには私の恋がうまく行くように、いろいろと協力して貰うんだからね」

「えーっ!オレ、絶対にやだよ」


困った顔で必死に抵抗するゆたを、容赦なく厳しい目線で睨みつけた。


「ひとまずさ、松原くんになんとなく聞いてみてよ」

「聞くって……何を?」

「決まってるじゃない!

『大塚璃音に一票投じたのか』と、もしその答えがイエスなら、『大塚璃音を好きなのか』ってこと」


それでもし「好きじゃない」って答えが出てくれれば、私の気持ちは少しだけ落ち着くことができそうな気がする。


ゆたは、割り箸でお皿についた乾いた青のりをガリガリとやりながら、小さな声で答えた。


「いくら苑美ちゃんの頼みでもオレ、それはしたくないよ。

それに、松原さんの答えがどうであっても、苑美ちゃんは満足しないと思う」

< 31 / 130 >

この作品をシェア

pagetop