疑惑のグロス
6:疑惑のグロス
あんな風にゆたと言い合いをしたのは久しぶりだった。
昔だったら、私が睨みを効かせた途端、困った顔をして言うことを聞いていたのに……。
少し大人になったからって、反論してくるなんて10年も20年も早いわ。
あーあ、本当に今日はツイてない。
お花見の話から始まり、歯茎から出血するわ、仕事に戻れば総務から嫌味を言われるわ。
ゆたが今回の原因だったことに加え、その張本人が悪びれもせず、かなり生意気でさ。
いらだつ気持ちを逆撫でられ、私の気持ちは行き場を完全に失って。
それどころかなんかこっちが悪いことしたみたいな気分でへこむし。
……家への帰り道では、犬のうんこを踏んづけるおまけ付きだもの。
飼い主を見つけてやりたいほど侮辱された気分になり、気分が落ちた私にとどめを刺した。
世の中の、ありとあらゆるものから見放されたみたい。
長かった一日が終わったことにほっと一息ついた、ベッドの中。
早く寝てしまおうと、電気を消して眠りのトンネルにさしかかった瞬間。
……足がつった。
なんなのよ、もう――!