疑惑のグロス
大塚と顔を見合わせて笑っている彼の顔を見ていたら、悔しい気持ちよりも悲しい気持ちが大きくこみ上げてくる。
と同時に、大塚に対する嫌悪感が一気にふくれあがった。
あんな男好きに、彼をとられてたまるもんか……!
彼が私のことを好きになってくれなくてもいい。
……あ、もちろん、好きになってくれた方が嬉しいけど、高望みはひとまず置いておくとして。
でも、大塚と彼がつき合うのだけは許せない。
あんな女に騙されたら……彼がかわいそうだもの。
彼を思う身分として私ができることは……あの女の悪の手から、彼を救うことね。
そうなるとどうしても、ゆたの協力が必要――悔しいけど。
覗き込んだままであれこれ考えている間に、そろそろ大塚が給湯室から出てきそうな雰囲気だ。
そしらぬ顔で廊下へと戻ると、書類を届けに商品開発課へと向かった。