疑惑のグロス
「ねえ、ゆた。
あの二人がくっついたら、いろんな意味で良くないと思うんだ。
だってさ……大塚って人のこと、好きなんでしょう?
松原くんに取られたくないって思うでしょう?」
私の言葉に、驚いた表情をして目をそらした。
「え……?ち、違うよ……」
「もう、ゆたのことなんか、赤ちゃんの頃からずっと見てるんだから。
私にはわかるって。いいじゃない、誰にも言わないし。
今までは私の気持ちを押しつけちゃったけど……ゆたが大塚って人を好きならば、そっちが先決。
絶対に、松原くんと大塚って子、くっつけないようにしないと!」
今、私の顔は正義感であふれてきりっとかっこよくなってるに違いないわ。
「オレ、別に璃音さんのこと、好きじゃないけど……」
ゆたがもじもじしながら言った。
くそっ、往生際が悪いやつめ。
目をそらしてる、その正直な行動が何より証拠だ。
私は聞く耳を半分にして、ゆたの首を縦に振らせようと必死に説得した。