疑惑のグロス

「でも……。

松原くんが、大塚って子を好きかもしれないじゃない」


なかなか疑い深い性格だと、時々自分でも思う。

石橋を叩きすぎて壊してしまうタイプとは、まさに私のことだ。


「だ……!だからっ!

松原さんが想いを寄せても叶うことはないって……」

「そんなの、わかんないじゃない。

大塚って子がいつ、気が変わるかわかんないし。

それに、北野くんとの交際が秘密だったらなおさらのこと。

松原くんはそれ知らないわけだしね」


強く主張され、ゆたはまたいつものもじもじクンに変身した。

いくら二人が恋人同士だったとしても……松原くんがわたしのことを好きになってくれる可能性には影響ないんだ。

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