疑惑のグロス
どっちにしても好意があると知ってしまった今、残された方法はただ一つ。
松原くんが、大塚のことを諦めるようなできごとが起こること――。
「とっ……とにかく。
オレは絶対に苑美ちゃんが心配するような事態にはならないと思う」
ゆたが言ってる『心配するような事態』って、大塚と松原くんがつき合うってことね。
でも、私の涙の理由は残念ながらそれじゃないよ。
やっぱり、ゆたにはまだわかんないんだなあ。
……そう言いたい気持ちをぐっと堪えて、私は『フラワー』に変わる、ある作戦を考えていた。
「ホント、頼むから黙っててね。
この話をしたのって、苑美ちゃんだけなんだから」
「しつこいわね!わかってるわよっ」
……困った顔のゆたを見ると罵声を浴びせてしまうのは、なかなか直らない悪い癖だ。