疑惑のグロス

人生で今までに好きになった男の人は二人だけだ。

幼稚園の時のシンジくん、そして中学の時のダイキくん。

思い出すだけでうっとりとしてしまう。


シンジくんは他の男の子と違って、いじわるをしたり、スカートめくりなんて絶対にしない、素敵な男の子だったんだ。

かけっこも早かったし、お絵かきも抜群で……何より私にすごく優しくて。


ああ、思い出しただけでも幸せ。

今頃きっと、女の子に優しい、ワイルドでマッチョな男性になってるんだろうな。


ダイキくんは、中三で同じクラスになった、野球部の主将をつとめる元気のいい男の子。

坊主頭を気にするおしゃれさんで、照れ屋だからあまり女の子と仲良くしている姿を見たことがなかった。


でもある日の掃除の時間に、私の好きなゲームの話で二人ですごく盛り上がってからというもの、少しずつ仲良くなって行ったんだよね。


なかなか他の人には見せない、とてもさわやかな笑顔を私にだけ向けてくれていた。

二人ともすごくシャイだったから、それらしき会話をしたことはなかったけれど、今思えばお互いの中にはきっと、友達以上の感情があったわ。


……間違いない。

確固たる根拠はないけど。

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