疑惑のグロス

私はいつものように、だらだらと休日を過ごした。

パジャマのままで昼過ぎまで過ごして、やっと着替えたかと思ったら、行く先はすっぴんのままでのコンビニ。


肩胛骨までの髪を簡単にくくって、足元はボロのスニーカーでも気にしない。

人間、いいなと羨むのは簡単だけど、そこに向かって頑張ろうとすると、結構な努力と重い腰をあげるパワーが必要なんだ。


……今の私には、残念ながらこれっぽっちもない。

コンビニに出かけただけでも良しとするくらいだ。




耳障りなビニル袋のこすれる音を片手に、夕暮れの街をだらだらと歩く。

やる気のない休日に対する、せめてもの言い訳にと、二つも遠いコンビニまで足を向けた。


恋占い特集に目を奪われた雑誌と、新商品のお菓子と、限定発売の炭酸飲料。

それから、お父さんにタバコを2箱とお母さんにシュークリーム。

別に買い物があって来たわけじゃないから、袋の中身はたいして欲しくないものばかりだ。


雨が降っていたのが嘘のように路面はすっかり乾いている。

夕暮れの風はいつもより温度が低く感じた。

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