疑惑のグロス
二つ先のコンビニとは言っても、それほど遠くない距離は、あっというまに歩き終えてしまう。
見慣れている、フローラル広瀬の看板が見えた。
どうせ暇だし、少し話でもしていこうかな。
いつもは店頭でせわしなく働いているおばちゃんの姿がない。
休日は時々ゆたが手伝いをしているから、もしかしたらお店の中にいるのかもしれない。
予想通り、店内の中ではお客さんを交えた三人が、楽しそうに盛り上がっていた。
ゆたは英字新聞を広げ、観葉植物を包装紙でくるんでいるところだった。
「おばちゃん、こんにちは」
わたしの声に、三人が一斉に振り返った。
「あれ?小松原さんじゃない。久しぶり!
っていうかどうしたの?家、この近く?」
「ま……松原くん……?」
おばちゃんと楽しそうに会話をしていたのは、あろうことか愛しの彼……。
なんでここにいるの?!
私の頭の中はみるみるうちに真っ白になっていった。