疑惑のグロス
「へえ。じゃあ広瀬とは顔見知りってわけ?」
「まあ、知ってるというか……」
私の言葉にかぶせるように、おばちゃんがニコニコしながら口を開いた。
「顔見知りも何も、由鷹とは幼なじみなのよ。
小さい頃からいつも一緒でねえ、小学生くらいまではお風呂も一緒だった仲なの」
――ちょっと……! おばちゃん、余計なこと言わないでったら!
「アハハ。裸同士のつきあいってわけか」
「ち……違いますってば、松原さん!
もう、かあちゃんは黙ってろよ!」
私と彼の顔を交互に見ながらゆたが慌てる。
たぶん、この場所で今一番困ってるのはゆただろうな。
「早く苑美ちゃんがうちにお嫁さんに来ないかって、お父さんと話してるのよ」
おばちゃんは冗談で言っているんだろうけど、私にとっては冗談じゃない。
彼に勘違いされたらどうしてくれるのよ!