疑惑のグロス
笑いながら聞いていた彼は、一番言って欲しくない言葉を向けた。
「そっか。じゃあ小松原さんが広瀬苑美に変わる日はそう遠くはないってことね」
もうっ……勘弁してよ。
私としては、松原くんのお嫁さんになった方がいろいろと都合がいいのよ。
名字も一文字しか変わらないし、きっと違和感なく受け入れられると思うもの。
好きなのは、ゆたじゃなくあなたなのに――。
黙りこくった私を見て、ゆたがさりげなく助け船を出した。
「それはそうと。
松原さん、わざわざうちに買い物しに来てくれたんだよ」
サンキュー、ゆた。
私が知りたかったのはそれだよ。