疑惑のグロス
彼は全寮制の男子校へと進学してしまったから、卒業後は一度も顔を見ていない。
でも、私の中では何となく、『好きな人』はずっとダイキくんのままだったんだ。
もしも町中でぱったりと会うような機会があれば、きっとドラマティックに恋が発展していたのに……。
とんだ妄想だって?
フン。紛れもない真実よ。
うまく歯車が合わなかっただけなの。
残念ながら、神様のいじわるによって偶然の再会は果たせぬまま、月日だけが過ぎようとしていた。
そんな私に、人生三人目の好きな人が突然現れるなんて!
思い起こせばそれはもう、四年も前の春のことだ。