疑惑のグロス

ゆたが丁寧に包装していたのは、彼の買った品物だったんだね。


「そうそう。

部屋が少し寂しくてさ、小さい観葉植物置きたいと思ったんだけど、オレにはよくわかんなくて。

広瀬なら会社に花も持って来るくらいだし色々知ってると思ってね」


ゆたの手の中に包まれている観葉植物はフィカスプミラだ。

私の部屋にも置いてある、葉の小さなかわいらしい植物。

私のもフローラル広瀬で買ったもので、ゆたが選んでくれたものだ。


……もしかしたら私のことを気遣って、彼へも同じ物を選んでくれたのかな。


「松原さんの家、おしゃれなんだろうなあ。

きっと似合うと思いますよ。

そんなに主張もない割に、他のインテリアを邪魔しないどころか、逆に引き立てるはずです」


ゆたは植物の話をする時、とても柔らかな笑顔になるんだ。

小さい頃から刷り込まれてるからだって言い訳するけど、きっとお花が好きなんだよね。

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