疑惑のグロス

そういえばゆたの部屋に入るのもかなり久しぶりだ。

恐らく2年ぶりくらいだろう。


以前とあまり変わっていない部屋は、相変わらずモノトーンで揃えた殺風景な印象だ。

ガラステーブルを挟んで彼と向かい合わせに座る。


自分の洋服を見ながら、頭の中に後悔の嵐が吹き荒れていた。

――コンビニ行くだけだからって油断しなければよかった。

いくらなんでも、こんな滅多にないチャンスに、Tシャツとハーフパンツはないでしょ……。


一度コンビニの買い物袋を置くために家に戻ったけど、そこで着替えてくるのもなんだか不自然な気がして、結局そのままの格好でゆたの家に戻ってくる他なかった。

もちろん、ノーメークなのも気になったけど、化粧して出直すなんて出来っこない。


結局、そんなボロボロの格好のままで、彼とは今、最接近中。

……やっぱり神様はいじわるだ。

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