期間限定の彼女


あたしは エレベーターに乗り
下の病院の出口まで見送った。


「別に あんな嘘付かなくてもいいのに」


「嘘・・・ね
でも こんなときこそ
安心出来ていいんじゃね?」


ホントのことだったら 両手挙げて
『バンザーイ』って 喜ぶのに。


「今晩…ここへ 迎えに 来てやるから
一緒に 旨いものでも 食いに行くかな?」


せっかく誘って貰ったけれど
手術しての今日 母を一人に出来ない。


「今日は 母さんと水入らずで
話もあるし…」


「そっか…
それなら 何かあったら知らせろよ」


「うん ありがとね」


すごく優しい松浦さん。


あたし 欲張りだから
全て欲しいよ~
松浦さんの心までも 全て…。


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