期間限定の彼女


「ホント安心したわ
ホントに いい人見つけたわねぇ~」


何度も何度も 同じ言葉を繰り返す母。


「そう?」


「これで 私たち
心置きなく福井へ行けるわ!」


うん?福井???


「福井?福井って 福井県?」


へっ?意味分かんない。


「そうなの…お父さんの生まれ故郷なのよ」


父は 残り少ない人生は
生まれ故郷で 過ごしたいと言ったらしい。


手術が 終わったら 行くように
もう 向こうでの生活の手配も
済んでると言う。


残りの借金は
ガン保険で払って…


その他 諸々は母の里で
お世話になったらしい。


今まで苦しいとき
絶対…里には言わなかったけれど
旦那がこんなになって
始めて話したそうだ。





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