金龍副総長×天然お嬢様 ~今日も俺は、恋愛中毒~
「凛、俺さこう見えてガキん頃いじめられてたんだぜ。」


「え?」


驚いた。
暴走族さんなのにいじめられてたなんて…


「俺な、ガキん頃は地味で弱虫で内気だった。
だからクラスでもはぶられてた。
そんな時に、1人だけ話しかけてきたやつがいて、
そいつはクラスの人気者だ。
俺、嬉しくてさ。
人気者のグループに入れたって。
だから必死に合わせてた。

でもなある時、そいつが
クラスのやつをいじめてて。
俺にそいつを殴れって言ってきたんだよ。」


笑いながら話す皐月。


何だか私に似ている気がする。
私は、夏ちゃんに必死に合わせている。


グループからはぶられるのが嫌で。


「でもな、何にもしてないやつを殴るのは何かちげえって思ったんだ。
でもそれを言ったら、俺ははぶられる。
だからやっちまったんだよ。」


「いじめをしたの?」


「最低だよな。
俺は、言いなりになった。けどさだんだんしんどくなって。
もう嫌だって言ったんだ。そいつにもう友達なんかやめてやるって。
そっから俺はいじめられっこ。
でも不思議と辛くなくてさ、むしろすっきりした。
で俺は決めたわけ、裏切られてもいじめられても、
俺が嫌なことはしないって。
強くなるって。」



「強くなる…か。」



「そ。
ひとりぼっちになったけど、こうやって仲間がまたできた。
自分の全部さらけだしてさ、それを受け入れてくれるやつが仲間なんじゃねえかってわかった。
少なくとも、仁と歩は俺を受け入れてくれた。
だからな、凛はもっと自分の意見を言ったほうがいいって思ったんだ。」



「私は、夏ちゃんに思ったことを言っていいのかな。」


「当たり前だ。
本当の友達なら、わかってくれんだろ。
凛は歩のことどう思ってんだ?」


「歩は私にとって特別。
一緒にいて楽しくて、
会いたくなって…
ドキドキして…
全部特別なんだ。」


「じゃあさ、それをあの友達に言えばいいんだよ。
もしも、わかってもらえなくても凛がどうしたいかを考えろ。
何かされたら、俺らがいる。
凛の居場所はさ、一つじゃないんだからな~」



くしゃっと頭を撫でられた。


何だか胸がぐっと来て
涙が…


「う"ぅ"…」


「うぉッッ!泣くなよぉ~
どうしたらいい?
ん~困ったな~」



ふふふ…
泣いてる私を見て皐月が困っている。


「ふふ…」


「笑ってんの?
泣いてんの?どっちだよ~」


「両方だよ。」


「はあ~?困らせんなよ~」



私が何をしたいか。



私は…歩といたいよ。


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