舞い降りた羽
頭を冷やすつもりが余計に酷くなった気がする。



リビングに戻ると、侑子がカップを2つのせたトレイを持って立っていた。





「おかえり、蝶凛。
カフェラテ作っておいたから。蝶凛、昔から好きだったでしょ?」





その姿と言葉が不意に彼と重なり、驚きのあまり呆然としてしまう。



――お風呂上がり、自室に戻ると彼がカップを1つのせたトレイを持って立っていた。



長湯のお陰で顔がほんのり赤い。





「今日一日もお疲れ様でした、お嬢様。
カフェラテをお持ちしましたので、良ければお飲み下さい。
疲れているときは、甘いものがよろしいですよ。」





私なんかよりも彼のほうが疲れているのに、いつも私を気遣ってくれた。



そして、何より傍で笑顔でいてくれた――



私がカフェラテ好きになったのは、彼の影響かもしれない。





「ありがとう、侑子。」





……甘い。砂糖が少し多いかな。



一気に飲み干しカップをシンクに置く。



洗うのは帰ってからでいいか。



侑子はリラックマのクッションを抱きしめ、テレビを見ながらのんびりとカフェラテを飲んでいた。



その間に、出かける準備をする。



――自室の扉を閉めずに。



タンスから真っ白なワンピースを取り出し、丁寧に身につける。



毛先がまだ少し湿っていたが、面倒臭い気持ちが勝り自然乾燥することにした。
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