同期が急に変わったら…。〜将生side〜
言葉が飛び交っていた会議室。
今は、静かな空気に包まれている。
『宮野、よくやった。ありがとう。』
『いえいえ課長こそ。お疲れ様です。』
宮野は、ペコっと頭を下げた。
『まあ、多分大丈夫だ。
ウチも折れたからな。お互い様だな。』
『桐谷さん、喜びますね。』
『そうだろうな。』
『課長も良かったですね。』
『ん?まあな、桐谷は優秀だからな。』
宮野は、笑いを浮かべて大きく頷いた。
『課長、聞いていいですか?』
なんだ?
いい予感がしない…。
『ダメだ。』
『ハハっ。益々聞きたいですね。』
『だから、ダメだ。』
『課長、桐谷さんを離せないのは
上司としてですか、男としてですか?』
…ほらな。
だから、ダメだ、と言ったんだ。
昨日に引き続き、
今日もこのネタだ。
『上司としてに決まってるだろ。』
『へぇ。
じゃあ、俺が男として離せないって
言ったら、どうします?』
宮野は、
余裕な雰囲気で、足を組んだ。
『地方に飛ばす。』
『ハハっ。怖いですね。冗談ですよ。』
『俺も冗談だ。』
『そうですか?本気ですよね?
大事な存在、なんですよね?』
『部下だからな。』
『ほんとですか?
課長、俺、分かってますよ。』
『…何がだ?』
『桐谷さんも
課長と同じ気持ちだと思いますよ。』
こいつ、俺達の気持ちは読めても
俺達の関係までは
まだ気付いてないようだな。
小泉といい、宮野といい、
俺はどう見えてるんだ?
なんでバレてんだ?
もしかして、俺はわかりやすいのか?
『課長、上手くいくといいですね。』
『……、お前、海外勤務希望か?』
『あー、すいません。』
『冗談だ。……ありがとう。』
『うわっ。課長認めましたね?』
『さあな。』
『俺は応援しますよ。』
『ハハっ。それは心強いな。
宮野、……他言無用だぞ。』
『分かってます!』
まあ、
こいつも頑張ってくれたからな。
俺の気持ちくらいなら、
認めてやるよ。
しかし、
昨日から俺は部下になめられてないか?
マジでなんなんだ。