同期が急に変わったら…。〜将生side〜



木曜の朝の喫煙所。





『おはよう。』

『おはようございます。』






タバコに火を付け、

今日も仕事の段取りを考えていた。






『将生、おはよう。』

『あー、隆也おはよう。』






朝から爽やかな男。

隆也はタバコに火を付ける。






『夏木部長が探してたぞ。』

『えっ?今か?』

『さっき。』

『そうか。』

『何かあったのか?』






……ここでは、話せない。






『まあな。』

『何?』

『お前、昼は?』

『今日は社食。』

『じゃあ、俺も行く。』

『ふーん。一緒に食う?』

『ああ。』

『了解。』






隆也と昼飯の約束をして、

喫煙室を出た。









営業のざわつくオフィス。





『おはよう。』





自分のデスクに向かう途中で、

いずみの方を見ると、

一瞬、いずみと目が合った。






相変わらず凛としていて。

しかも。

スッキリした顔しやがって。

昨日はよく寝たんだろ?







夕べ、会いたくてたまらなかった。

もう完全に限界を超えた。

今夜は絶対会いに行く。






こいつ、

……俺を狂わせやがって。







さ、仕事だ。







デスクに座り、パソコンを立ち上げ

すぐに仕事を始めた。






いずみは、優しく笑いながら

加藤と話している。






今日は、

夏木部長から、返事を貰う。

いい返事の自信はある。

いずみの喜ぶ顔が見れそうだ。








昼休みに入り、

いずみと加藤が

一緒にオフィスを出て行った。

ランチにでも出掛けたんだろう。







トゥルルルル〜。




内線電話が鳴っている。






『課長、夏木部長からお電話です。』

『あー、繋いで。』






受話器を取って、





『はい、藤森です。』






電話をしながら顔を上げると、

視線の先には宮野がいた。






宮野は俺の様子を見ている。

宮野も気になってるんだろう。






『おー、藤森か。
桐谷の件だが。
最高で1年だ。1年だけ待ってやる。
それでいいか?』


『はい。充分です。
部長、ありがとうございました。』





受話器を持ちながら、

宮野を見て、数回頷いて笑い、

上手くいった事を知らせた。






宮野は理解して、ニッコリ笑った。






『全く、お前らには負けたよ。
まあ、頑張れよ。』


『はい。』






ガチャ。






受話器を置いた手で、

直ぐに携帯を持った。






履歴からいずみの名前を見付け

電話をしようとして、

即座に手を止めた。






直接伝えてやりたい。

いずみの喜ぶ顔を直接見たいと思った。

午後イチで、会議室だな。







安心したら、腹が減った事に気付く。





隆也と社食で約束してたな。

とりあえず社食だ。







オフィスを出る途中に、

宮野にそっと伝えた。






『OK貰ったぞ。ありがとな。』

『やりましたね。』

『ああ。お前も昼飯行って来い。』

『はい。』






俺は、少し急いで社食に向かった。






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