同期が急に変わったら…。〜将生side〜
社食に行くと、
隆也が中央のテーブルに居た。
また、目立つヤツだな。
隅の方に居ればいいものを。
あんな真ん中で、話しにくいだろ。
隆也の近くまで行くと、
隆也はトレーを持って立ち上がり、
目で、向こうへ、と合図した。
さすがだ。
空気読んでんな。
俺と隆也は、
隅のテーブルに座り定食を食べ始めた。
『で、言いにくい何があったわけ?』
『さっそくか。』
『時間がない。早く言えよ。』
『ああ。
企画がいずみを欲しがってさ。』
『は?』
珍しく、あからさまに驚く隆也。
だろ?
俺だって驚いたよ。
時間に追われる俺達は、
ガツガツ食べながら話を続けた。
『突然言われて、まいったよ。』
『いずみ異動か?』
『いや。部長を説得した。』
『あの部長を、か?』
『まあな。』
夏木部長は、
俺達が入社した頃は、
怖くて話さえ出来なかった。
そんな人物に、
俺はいずみを渡さなかった。
『お前、どんな手使ったんだよ?』
『2時間粘り倒した。』
『ハハハっ。すげーな。』
『………。』
『いずみを渡したくなかったか?』
『………。まあな。
いずみは俺のそばに置いとく。』
『へぇ。いんじゃね?
そーいう熱いお前、すきだね。』
『どーも。』
隆也はニヤリと笑い、
お茶を飲み干した。
『で、結局営業に残れたんだろ?』
『ああ、1年間はな。』
『1年?なんだそれ?』
『最長で1年待ってもらった。
その後は企画に異動だな。』
『いいのか?』
『………。
どうせ、いつかは異動だ。』
『なんでだよ?』
『一緒の課にはいれないだろ?』
隆也のニヤつく顔が
更にニヤついた。
『ほー。なるほどね。』
『わかったか?』
『まあね。』
『言うなよ。』
『言わねーよ。恵梨香以外にはな。』
恵梨香以外か。
まあ、いいか。
どうせ、いずみに聞くだろ。
『まあ、そういう事だ。』
『お前、変わったな。』
『そうか?』
『いずみにやられてんな。』
『………。らしいな。』
悔しいが、そうなんだよ。
いずみは大切な存在だ。
『将生、
ちょっとマーケ寄ってくれよ。』
『おう。』
俺達は、10分で昼食を済ませ、
2人でマーケのオフィスに戻った。