同期が急に変わったら…。〜将生side〜
『いずみ。
企画の異動は、延期だ。』
『えっ?ほんと?』
『ほんと。』
『やった!良かったー。』
いずみの最高の笑顔が見れると
思った瞬間。
いずみは、
ガバっと思いっきり
俺に抱きついてきた。
しかも、かなり強く。
おいっ。
顔が見えねぇだろ。
とは言うものの、
実はかなり嬉しかった。
いずみから抱きついてくる事なんて
初めてだ。
『お前、やけに積極的だな。』
『なっ、なによ。
だって。…ごめん。つい。』
『いや、大歓迎だけど?』
しどろもどろのいずみが可笑しくて。
笑いながら
俺に抱きつくいずみの背中を
優しく撫でて
頬に軽いキスをした。
『良かったな。』
いずみの耳元で囁く。
『うん。』
『でも、延期だからな。』
そう言うと、
いずみは俺から離れようと動いた。
離すわけねーだろ。
お前から抱きついてきたんだ。
離してやらねぇから。
腕に力を込めて
いずみをギュッと抱きしめた。
『ねえ、延期って、どういう事?』
『まあ、1年間は営業にいろ。』
『1年間?』
『ああ。一年あれば、…まあな。』
やべっ。
つい言いそうだった。
『何?』
『まあいいだろ?
その後は、俺に任せとけ。』
『…うん。』
うん、と返事をしながら、
いずみはまた離れようとする。
だ、か、ら。
…離さねぇから。