同期が急に変わったら…。〜将生side〜


風呂から上がって

二人でソファーで寛いでいた。




そろそろ寝るか。




……その前に。




ソファーから立ち上がろうとした

いずみの腕を掴んだ。




『いずみ。』

『何?』




笑顔のいずみ。




これから俺が言う事で、

嬉しい顔をするか、

困った顔をするか。




自信はあまりないが。





『一緒に住むか?』

『えっ?』




まずは驚いた顔だった。

そうだな。

俺がこんな事言うなんて、

想像もしてなかった、

ってとこだろう。





『一緒に住むぞ。』

『いいの?』





いいに決まってるだろ?

俺が言い出してるんだから。







いずみの気が変わらないうちに

話を進めよう。




『当たり前だ。
俺のマンションで、いいよな?』




どっちでもいいんだが、

ウチの方が会社にも近いし、

部屋も広い。




後は、男のプライド。




『そう…だね。』

『俺んち、来るか?』

『うん。行く。』

『よし。
じゃあ、とりあえず
明日、いるものだけでも、運ぶぞ。』

『ねえ、ほんとにいいの?』

『ああ。
お前とずっと一緒にいたいからな。』

『……………うっ。』






……泣いた。

いずみが泣いた。

マジか。




………。





さすがに動揺した。




『おいっ。こんな事で泣くなよ。』

『うっ。うっ。』




次から次へと

いずみの瞳から流れる涙。





そんないずみが、

愛しくて可愛くて。






俺もテンパってきた。




『お前さあ。
こんなんで、そんな泣いてたら、
プロポーズされたら、どーすんだよ?』


『………。』


『いずみ?
プロポーズだって、そのうちするぞ?
営業にいる間にな。』


『………。』


『夫婦で同じ営業課は無理だぞ。
藤森いずみは、企画課だな。』




言ってしまった…。

動揺して、

先の事まで言っちまったじゃねーか。




『うっ。』




しかも、

それが更にいずみの涙を増やして、

どんどん綺麗な涙が流れ落ちる。





『うっ。』




どんだけ泣くんだ?

嗚咽が出る程

ボロボロ泣いている。





『ハハハっ。わかったよ。』




涙が止まらないいずみを

優しく抱きしめた。




いずみの髪を撫でて、

背中も優しくさすって。






『将生ぃ。ありがとう。』

『どういたしまして。』

『うっ。』




まだ泣くのか?





『バカか。』




なんて言えば泣き止むのか分からず

こんな言葉しか出てこなかった。






いずみの事になると

スマートにいかない。




俺こそ、バカか。





でも、こいつ、

ほんとにずっと俺に惚れてたんだな。




いずみの涙を見て、

そう思った。





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