同期が急に変わったら…。〜将生side〜


俺は、携帯を手にして、

いずみに電話をかけた。




が、なかなか出ない。

寝たのか?、

と思い、切ろうと思った時。




『もしもし?』

『いずみ?』




こいつ寝てたな。

すこし怠そうなトーンの落ちた声が

電話から聞こえてきた。




『うん、将生?お疲れ様。』

『お前、なんで電話しない?』

『ごめん、ごめん。
ソファーで寝てた。』




うたた寝かよ。




最近の夜はすっかり寒くなった。

風邪ひくなよ。





冗談混じりの会話を交わすだけで、

心が暖かくなる自分を感じながら

いずみの声を聞いていた。





東亜の話の中で、



『うん、でもさ、
あの専務、今日はセクハラ
パワーアップしてた。』



珍しくいずみが愚痴った。

愚痴るほどの真剣さもない程度の

軽い会話のように。




多分、かなり不快だったんだろう。

それでも、

また、あんなの平気だ、と言う。





あのエロ専務。マジでムカつく。

もう、いずみには触れさせない。





『いずみ、来週行く時は
俺から離れんなよ。』


『だから、大丈夫だってば。』


『俺がいやなんだよ。
黙って、俺の後ろにいろ。』


『うん、わかった。ありがと。』





いずみは、素直にお礼を言った。

別にお前の為じゃない。

言葉のまんま、

マジで俺が嫌なだけ。






他の男が、

いずみに触れるのさえ

いい気がしないから。







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