同期が急に変わったら…。〜将生side〜
しばらく、仕事を続けていたら、
いずみが、俺の向かいの椅子に座った。
『ねえ、将生。
まだ仕事だいぶかかるの?』
と頬杖を突いて聞いてくる。
『ああ、まだだな。
……。でも寝るか?』
パソコンの画面越しに
いずみを見てそう答えると、
いずみは笑顔で俺を真っ直ぐ見ていた。
なんだ?
やけに見てんなあ。
『将生って、課長なんだね。』
『なんだよ、今更。』
アホか。
課長が珍しいのか?
訳がわからん。
いずみは、
時々こういうトンチンカンな事を言う。
俺は、また可笑しくなって、笑った。
こいつ、俺を笑わせる天才か。
アホすぎて、可笑しくなる。
まあ、本当のアホとは思っていない。
言い方を変えれば、
可愛いって意味……かな。
そろそろ寝るか。
俺はパソコンを閉じた。
『寝るか。』
『うん。』
寝る前の歯磨きを済ませ
先に寝室に向かった。
いずみは俺より少し遅れて
歯磨きを終えてきた。
ベッドに横になり、
布団の片側を持ち上げて
いずみを呼んだ。
『いずみ。』
『また、一緒に寝るの?』
『当たり前だろ。早く来い。』
しぶしぶとベッドに入って来る。
しかも、背中を向けて。
『いずみ、こっち向けよ。』
『やだよ。』
『初めてじゃあるまいし。ほら!』
いずみの肩を掴んで、
俺の方に向かせてみたが、
イマイチいずみの身体の向きが、
こっちを向いていない。
どうすっかな……と考えていたら、
いずみは自分から
俺の方に向きを変えた。
少し顔を枕に埋めるようにして
目を合わさないいずみ。
いずみを抱きしめたい。
向き合う二人の間には
今回も空気の壁。
前と違うのは、向かい合わせという事。
『素直じゃねーな。』
空気の壁を失くしたくて
いずみをそっと抱きしめた。