同期が急に変わったら…。〜将生side〜
アレ。
俺は、いずみより先に出勤。
就業前に部課長会議がある。
『いずみ、俺、先に行くぞ。』
キッチンに居るいずみに声をかけた。
『うん、わかった。会社でね。
いってらっしゃ〜い。』
『おう。じゃあな。』
『うん、会社でね。』
いずみは、
玄関先まで出勤を見送ってくれた。
いってらっしゃい、か。
……いいな。
こうやって見送ってもらうのも。
いずみのマンションを後にして、
俺は会社に向かった。
部課長会議。
まずは、出張の報告をさせられた。
この会議の部課長メンバーは、
営業、企画、マーケティングの
部課長の集まり。
俺は一番年下だ。
会議のラストは、
三鷹についての説明だった。
今はマーケティングが動いている。
三鷹は、営業1課が取ってきた仕事。
自慢みたいだが、俺が取ってきた。
この先の仕事、隆也もやるのか?
だとしたら、
恵梨香、妊娠してんのに、
忙しくなるだろうな。
……。
いずみに構ってる暇、ないだろ?
おー、どんどん働け。
要らぬ世話なんか、出来なくなれ。
いずみと言えば、
企画の部長に言う事が……。
『夏木部長。すみません。』
企画の部長を呼び止めた。
『おー、藤森。どうした?』
『桐谷の事ですが。』
『ああ、考えてくれたか?』
『はい、あ、いえ。
桐谷は、やはり営業に残します。』
『お前も頑固だな。
うちは、いい返事だけを待ってるぞ。』
『いや、そういう訳にはいきません。』
『あー、悪いが、今日は急ぐから。
その件は、また来週だ。』
『……わかりました。』
部長こそ頑固だ。
また、来週断るか。
とりあえず、今日の仕事だ。
少しでも早めに帰りたい。
いずみの待つマンションに。
さ、オフィスに行って、
すぐ取り掛かろう。