儚語り
鮮やかな緋色の髪と爽やかな笑顔が思い浮かぶ。
力なく、ペタン……と足に力が突然入らなくなり座り込む。
「…………くしろ、どうして?何で?初音……初音が、みんなが……うわああああああああああぁ」
わからない事ばかりで頭がどうにかなりそうだった。
――もう、なっていた
そんな時、どこからか声がした。それは今となってはとても懐かしい、よく聞いた親友の声。
“泣くなよ、鬼火”
「空白!?どこにいるんだ……?」
“視えないよ。俺は神様の始めた残酷なゲームを止めようとしたけど、結局止められず、俺はお前を護るために……神命を迷わずお前に写し、お前の命の代わりにしたんだ”
「嘘、だろう…………?」
“鬼火が生き残ってくれたら、希望が残る。……ごめんな、本当なら俺が何とかしなきゃいけなかったのに。鬼火の大切な人も、巫女様も、国の人たちも、誰も護れなかった”
「…………っ」
男なのに。我慢しなければならないのに、しっかりしなければいけないのに、涙が止まらなかった。