き み と
「まだ撮るの?」
「うん。」
もう一回やってみよう。
俺は階段からゆっくり立ち上がる。
別に 絵 は逃げないのに
すぐに留めておきたい、と思った。
「一緒に行く。」
流れでは、亜美と
一緒に帰ることになるだろうけど、
別に家の方向は一緒だし構わなかった。
そんなことを考えながら
絵 にたどり着く、
その、時―――
足が、
止まった。
どくん
「どしたの、潮。」
隣で亜美が話しかけたのも
全然、耳に入らない。
目に映るのは、
あの 絵 の前で 立ち止まる
小柄な 女の人
どくん
絵 に触れる
白くて 細い 腕
綺麗な 指
どくん
黒くて 長くて 真っ直ぐな 髪
小柄な 背丈
確信は 無かった
だけど ただ 何となく 思った
「…柊…さん…ですか…?」