き み と
―――――*
「陽奈じゃないか。」
「おじさん。」
太陽が照りつける 暑い日。
夏休みが始まって 4日目。
私は駅の噴水に 腰掛けて
彼 のことを待っていた。
「おじさんはキツイなぁ…。」
「…透さん。」
約束の10時まで あと10分。
先に私の前に現れたのは
彼 ではなく スーツ姿の若い男の人。
「待ち合わせか?」
コクリ と頷く。
「遙香ちゃん?」
首を横に振る。
「じゃあ…同じクラスの子?」
また 首を横に振る。
「同じ中学の子?」
もう一度 首を横に振る。
「……まさかー……」
透さんは怪訝な顔をしてから
少し 躊躇うように言った。
「彼氏か?」
「………うん。」
彼氏 と言う単語は
何故か心地よくなくて。
「本当に!?」
私がもう一度頷くと 透さんは驚いて
嬉しいような
寂しいような
複雑な表情をする。
「そっかー…陽奈に彼氏かー…。」
ははは、と無理に笑うと
私の頭に ポン と手をおいた。
「うん、まぁ…頑張れよ。」
その 頑張れ の意味が
よく 分からなかったけど
透さんが 柔らかい顔 で笑うから
私もつられて 顔が緩んだ。
「そっかー…陽奈に彼氏かあー……。」
まだしつこく呟くから
私は思わず 笑ってしまう。
この人が 私の知る 唯一の
"かてい"。
「陽奈じゃないか。」
「おじさん。」
太陽が照りつける 暑い日。
夏休みが始まって 4日目。
私は駅の噴水に 腰掛けて
彼 のことを待っていた。
「おじさんはキツイなぁ…。」
「…透さん。」
約束の10時まで あと10分。
先に私の前に現れたのは
彼 ではなく スーツ姿の若い男の人。
「待ち合わせか?」
コクリ と頷く。
「遙香ちゃん?」
首を横に振る。
「じゃあ…同じクラスの子?」
また 首を横に振る。
「同じ中学の子?」
もう一度 首を横に振る。
「……まさかー……」
透さんは怪訝な顔をしてから
少し 躊躇うように言った。
「彼氏か?」
「………うん。」
彼氏 と言う単語は
何故か心地よくなくて。
「本当に!?」
私がもう一度頷くと 透さんは驚いて
嬉しいような
寂しいような
複雑な表情をする。
「そっかー…陽奈に彼氏かー…。」
ははは、と無理に笑うと
私の頭に ポン と手をおいた。
「うん、まぁ…頑張れよ。」
その 頑張れ の意味が
よく 分からなかったけど
透さんが 柔らかい顔 で笑うから
私もつられて 顔が緩んだ。
「そっかー…陽奈に彼氏かあー……。」
まだしつこく呟くから
私は思わず 笑ってしまう。
この人が 私の知る 唯一の
"かてい"。