き み と
『好きです。付き合ってください。』
小説 とか おとぎ話 の中だけの
縁のないと思っていたこと。
彼 は 私のいる教室へ来て、
私を扉まで呼び出して
そう 言った。
断る 理由 ―――
彼 を 拒む理由は
何処にも無かった。
だから 私は頷いた。
本当は 頷く理由も
私は 持ち合わせてなんか
いなかったけれど。
そんな私を見た 彼 は
偽りのない 笑顔 をした。
―――――*
「一目惚れです。」
彼 と一緒に帰途につくとき
私は 彼 に気になったことを訪ねる。
「ずっと先輩のこと、考えてました。」
真っ直ぐ前を向いて 言う。
「だから夢みたいです。」
夢 ?
彼 にとってこの現実は 夢 のようで
私には 現実 しか存在しない。
決して交わらない わたしたち。