き み と
瞳から 溢れる もの。
次々と 流れ続ける。
「………先輩?」
私を 心配する 声
「っ……。」
涙が 止まらない
「……先輩……。」
アオイ君の声は
なぜか 落ち着いていて
「俺……言い方悪かったかな……。」
彼は 違うことを 私に聞く
私は 当然 首を横に振る
「………それじゃあ…どうしたんですか?」
決して呆れている 声じゃ ない
優しい 口調で
ますます胸が 締め付けられる
「…先輩………。」
その声に 次々と涙か溢れてきて
顔を上げられない
ふと
彼が 近づく気配がした
「せん………ぱい……。」
俯く視界に入る
彼の汚れた白い靴
あやすように 私の背中に触れる
彼の 大きな手
「……いやだったら…
……突き飛ばしてください……。」
彼が 私を 包むように
優しく おそるおそる
その 両手で 抱きしめた
「……先輩……。」
何度も 何度も 私を呼ぶ 声
それは 名前ではなく
一つの 名詞。
呼んでほしいと
想ってしまった
私は 別れ を恐れる
だけど 失くしたく ない
この 暖かい 温もりを
この あたたかい きみを
私が となりに いたい
ずっと きみの となりに…。